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読書感想(書籍) やがて森になる

カフェに集う人々が生み出した、小さくて温かい本――
やがて森になる(小谷ふみ)くるみど出版
 東京の西側、武蔵野の森と言われるあたりに、西国分寺という駅があります。
 JRのふたつの路線が交わるこの駅は、駅周辺こそ賑やかですが、すぐに住宅街になってしまう、そんなささやかなベッドタウンです。
 この街の小さなカフェに集う人々が、出版社を立ち上げ世に送り出した、小さな本。それが今回ご紹介する「やがて森になる」です。
 Amazon での取り扱いがないため、書影は自作です。ちょっと曲がってますね、すみません。
 写真からではわかりにくいのですが、文庫本サイズで、表紙は布張り。よくビジネスホテルで見かける聖書の小型版といった外見です。このややレトロな装丁が、手にしっくりときます。
 西国分寺駅構内にある書店が、出版社からの委託販売を受けていて、そちらで巡り合いました。
 
■概要
 詩集です。
 お子さんをもつ女性である著者の、暮らしのひとコマ、ひとコマが、やさしい筆で描かれています。
 
■感想
 実は「詩集」というと、何だか高尚すぎてとっつきにくいイメージがあったのですが、この本は、どの作品も普段使いの言葉で日常生活を描いていて、読みやすいものでした。詩というより、短文で綴られたエッセイと見てもいいかもしれません。
 大きな彼と小さな彼、そしてわたし。かけがえのない家族。やさしい時間が流れる裏側で、小さくはない悩みや葛藤もある。それらをすべてくるんで、今生きている日々を大切にしている著者。彼女の心の強靭さが、伝わってきます。そして読む方もまた、彼女のやさしさと強さに励まされます。

 装丁も、この本の内容と読まれるだろうシチュエーションに合っています。
 バッグにこっそり忍ばせておき、電車待ちのわずかな時間、喫茶店でのリラックスタイム……日常の隙間に紐解くには、このサイズと重さ、色と手触りが絶妙なのです。
 表題を金箔押ししたきれいな本ですが、布地が擦り切れて、手垢がつくくらい、そばに置いてもらうことを喜ぶだろう本です。
「本は電子書籍」派なわたしですが、この本で、リアル本にしか醸し出せない本の魅力を知りました。

 一般書店での取り扱いはありません。ご興味をもたれましたら、くるみど出版のサイトへどうぞ。オンラインで書籍の購入もできます。

くるみど出版 (別窓)

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